Valentine Stories

チョコレート

バレンタイン前に紹介しようと思っていた書籍がありましたが、いろいろあって忘れておりました。
来年の2月まで温めて置くとまた忘れそうなので、今回紹介します。

Valentine Stories
中公文庫(2018年発売)
「ビターチョコにはほろ苦ピールを」三羽省吾
「初めて買ったチョコレート」中島要
「灯台とチョコレート」木村紅美
「マイ・ブラッディ・バレンタイン」秋吉理香子
「メロンソーダコーラ」加藤千恵
「バレンタインデーは誰のもの?喫茶〈ひとつぶの涙〉事件簿・外伝」鯨統一郎
「苦いチョコレート」石井睦美
「初恋」朝比奈あすか

こちらの本は、いろいろな作者がバレンタインを題材にした作品を読めます。
『8人の作者による、8種類のバレンタインの形』が、とても面白いです。

この本の中で、個人的に一番好きだったのは、「灯台とチョコレート」です。
ここから下は、その話の中で気に入った文章を入れておくので、ネタバレが苦手な方はここでお帰りくださいませ。

うちで淹れる飲みものは、一杯ずつ、だれかにとっての灯台であってほしい。わたしはこのカフェで、そんな気持で働いている。鍋をとろ火にかけ、溶けてきたチョコレートを木べらでかき混ぜるうちに、おかみさんの、温まった牛乳のにおいそのもののようだった柔らかな声が聞こえてきた。
「こういうときは、熱くて甘いものがいちばんほっとするかな、と思って」
あの親切にしてくれた人たちは、いまは、どこにいるのだろう。ー知らない場所で元気でいることを、ただ、祈っている。

灯台とチョコレート、優里

この文章は、物語の最後にある主人公の独白部分です。
このお話に登場する主人公優里は、現在はカフェを経営しており、冬期限定で提供しているホットチョコレートを作りながら、過去を思い出しています。
過去で父親と共に、お世話になったおかみさんたちとのやりとりが描かれています。
おかみさんたちに親切にされたおかげで、父が家族のところに帰ることができたと感謝を感じつつ、自分もだれかの灯台になることを望んでいる描写が、とても心温まって素敵な話だと思います。

要約することは難しいので、意味が伝わっているか不安ですが、もし興味を持ったら読んでみてくださいね。

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